ダイビングではよく行う「耳抜き」ですが、飛行機などでも上昇時や下降時など耳が痛くなったり、聞こえにくくなったりするときにも行うことで、楽にすることができます。
ですが、耳抜きをしてみても片耳だけ抜けない…どんなに頑張っても同じ耳だけ抜けにくい…。そんな人もいるのではないでしょうか。
実をいうと僕もなぜか右耳だけ抜けにくいです。
今回はそういった片耳だけ耳抜きができない方に向けた記事になります。
もちろん、耳抜きが単に苦手な方も見ると大変ためになる記事にしたつもりですので、是非読んでみてください。
どうして片耳だけ耳抜きができないのか?
さて、どうして片耳だけ耳抜きができないのでしょうか。これについてまずは列挙いたします。
①耳管に左右差がある
これが多くの人の原因であると思います。耳抜きは耳管を広げるための行為ですが、そもそも耳管には左右差があります。皆さんも、人の体で左右対称というのはなかなかありえないという話を聞いたこともあるのではないでしょうか。
この左右差のために片耳だけできないということが起こるのです。
②副鼻腔の換気が悪い
耳抜きは空気を耳管に送り込むことで成功します。もし、空気の通り道に何らかの障害が起こっていたとしたら、耳抜きは難しいものになってしまいます。
ただでさえ、耳管の左右差があるのに、こういった障害もあるとしたらさらに難しくなってしまいます。
この障害ができる原因としては、風邪やアレルギー性の鼻炎、副鼻腔炎などが挙げられます。
また、ダイビング前日の飲酒なども粘膜が充血し、耳管が狭窄してしまうので注意が必要です。
③耳抜きの力加減が分かっていない
耳抜きは強くやり過ぎるのも良くはないですが、弱すぎるのもできない原因となります。片耳が抜けにくい人は抜けやすい方は弱い力で抜けますが、抜けにくい方では耳抜きが弱すぎるので抜けないという人がいます。
つまり耳抜きが下手ということですね。力加減を覚える必要があります。
④潜行速度が速すぎる
耳抜きができていないのにさらに深いところに行こうとすると、耳抜きも難しくなっていきます。
なぜなら、深いところほど水圧が高く、鼓膜が押される力が強くなり、耳管に空気を送り込むのにも力がさらに必要になってしまうからです。
潜行速度に気を付ける必要があります。
⑤鼻をしっかり摘まめていない
これも多い理由の一つです。鼻を十分に摘まめていないと空気が漏れてしまい、十分に耳管に空気を送り込むことができません。
⑥首回り・顎周りの筋肉が凝っている
耳抜き不良には首回り・顎周りの筋肉が凝り固まっていることが原因のものもあります。
これらの筋肉をほぐすことも大切です。また、これらの筋肉が固まることで血流が悪くなることにもつながり、その結果耳抜きがしにくくなるということもあるようです。
対処法やダイビング前の準備
①耳抜きの方法を変える
有名な方法としては、耳抜きができない方の耳が上になるように、頭を左右のどちらかに傾けて、できないほうの首筋を伸ばしつつ、耳抜きができたほうの耳側の手で鼻をつまみ、もう一度耳抜きするという方法です。
このとき、出来た方の耳を肩にくっつけるくらいの気持ちで、大きく頭を傾けましょう。
これで改善する場合が多いです。
また、僕の場合は鼻を押さえて行う、バルサルバ法を軽くやりつつ、嚥下する方法を取っています。これがなかなかに効きます。
試してみてください。
②鼻をしっかり押さえる
このときに注意なのですが、鼻の形も千差万別です。どの鼻にも対応する方法は、マスクを摘まむのではなく、鼻の穴に向かって下から指を押し当てるという方法です。
この方法ならどんな鼻でもしっかりと塞ぐことができます。
③耳抜きはこまめに、浅いところから始めよう
皆さん、勘違いしているのですが、耳抜きは耳に違和感を覚えたときに行うのではタイミングが遅いです。
水深10mまでが一番水圧が変化するので、最低でも1mに1回の目安で実施しましょう。
潜る前に耳抜きをするのもありです。
④ゆっくりと足からの潜行をしよう
潜行ロープなどを使って、ゆっくりと潜行することが大事です。水圧の変化を急激にしてしまうことが耳抜き不良につながります。
また、足先から潜行するのも大事です。空気は水中では上の方に向かうので、頭から潜行すると空気は足の方に向かってしまい、耳に送りにくくなります。
⑤体調を整えよう
アレルギー性鼻炎や副鼻腔炎、風邪などは耳管への空気の通り道の障害となってしまいます。もちろん、飲酒も同じです。
体調を整えてからダイビングを行うようにしましょう。
裏技として、薬を使うという方法もあります。抗アレルギー剤を使う方法です。実は健常な人にも効果があります。4~5日前から服用するとよいようです。
最近は眠気が出ないものもあるのでお医者さんに相談しましょう。
⑥抜けにくくなったら浮上する
抜けにくいなと感じたら少し浮上するのも大切です。水圧が下がり、耳抜きに使う力も減るのでやりやすくなるはずです。
⑦ダイビング前に首回りのストレッチをしよう
原因でも述べたように首回りの筋肉が凝り固まっているのは、耳抜き不良につながります。
ダイビング前に首を回したりなど、ストレッチをしましょう。
⑧ダイビング前に飴やガムを食べる
飴は唾液の分泌を促進します。嚥下で耳抜きができるように舐めておきましょう。ドリンクを飲むのも大事です。
ガムは顎の筋肉を動かすことができます。また、唾液の分泌にも良いです。
⑨陸上で耳抜きのトレーニングをする
耳抜きの力加減を覚えるのに良い器具があります。オトヴェントというもので鼻で膨らませる風船です。
ダイビングショップにもおいている場合があります。
個人でも通販で購入できるので、日ごろからのトレーニングで力加減を覚えることが可能です。
下に使い方を解説した動画を載せておきます。
⑩ダイビング用耳栓を使用する
ダイビング用耳栓は、水圧の変化を和らげてくれるダイビングや素潜り専用の耳栓です。
スコットバルブと呼ばれる特殊な通気口のお陰で、耳に感じる水圧の変化が通常よりもゆっくり、耳抜きのタイミングが遅れて耳が痛くなることが少なくなります。
耳栓と言っても耳に水が入るのを防ぐ器具ではありません。ダイビングの潜降による急激な圧力変化を緩和してくれる耳栓です。
急激な圧力変化を抑えられるので耳抜きがやりやすくなります。
この耳栓をしても、耳抜きは必ず必要ですのでご注意ください。
⑪マスクをプロイヤーマスクにする
プロイヤーマスクは左右に両耳を覆うイヤーカップが付属されたダイビングマスクです。
マスク本体とイヤーカップが管で繋がっています。
鼻から息を吐き、マスク本体からイヤーカップへ空気を送ることで、イヤーカップ内の圧平衡ができます。
これにより耳抜きが普通にやるよりも簡単になると思います。
まとめ:片耳だけ抜けない方必見!痛い思いをしなくていい耳抜きの方法紹介!
以上になります。
耳抜きができないと鼓膜が破れてしまったり、外リンパ瘻という病気になってしまったりなど、もうダイビングができなくなってしまうことにもなりかねません。
耳抜き不良の対策はしっかりとしておきたいものです。
楽しく安全にダイビングができるように注意しましょう!
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