海外の医大を出て、日本で医者として働くという選択について

海外の医大を出て、日本で医者として働くという選択について

最近、ALSの患者に依頼されて医師2人が嘱託殺人の疑いで逮捕された事件がありましたよね。

そのうちの一人が海外の医大を出て(これも本当かわからなくなりましたが…)、国家試験を受けたと報道されていました。

この事件を見て、「海外出身の医者はおかしい」って考えてしまう人もいると思いますが、僕は違います。

僕の周りの医者もそういう考えの人が多いです。(中には医者の中でも制度などの問題で危惧している人がいるかもしれませんが…)

今回はこの「海外の医大を卒業して、日本で医者をする」ということと、「実際にどういう人なのか」について記事にしたいと思います。

 

海外の医大を出て日本で医者として働く

これが実際にできるかどうかという答えについては、もう多くの人がニュースなどを見ていたらわかると思います。もちろん「可能です」

実際に医学部受験をした人の中には、センター試験後や医大の前、予備校前でそういった内容のパンフレットを配られた経験のある人もいるのではないでしょうか。

僕も一度もらったことがありまして、その時のパンフレットに書かれてあったのは、ハンガリーの医大を出て医者として日本で働くということについてでした。

僕の家は一般家庭(両親ともに医者でなく、お金持ちでもない)で、国立大の医学部に入れるかどうかもわからないという成績だったので、ハンガリーの医大なら楽に医者になれるんじゃないかと考えて、親に相談したこともありました。

結果としては、パンフレットが胡散臭いということで却下されてしまいましたが、ポリクリを回るようになったときに意外とこういう海外の大学を出て、日本で医者をしている人が多いということを知りました。

国もバラバラで、僕が見てきたのはイギリス、中国、ハンガリーの医大出身の先生です。

国家試験さえ通ってしまえば、普通に何の制限もなく働くことができます。

なら、現役の時に海外の医大に飛び込んでしまえばよかったんじゃないかとも思ってしまいそうですが、後々になってその人たちに話を聞いた結果、「僕には到底無理だ」となりました。

 

海外の医大を出るのはかなり大変

授業の難易度

まず、海外の医大で大変なのは「授業が全部英語」という点です。

もちろん、医大に入った後に英語の授業をみっちりやるそうですが、次のステップ(医学を学ぶ)に進むために英語の試験を受けなければなりません。この試験をパスしないと次のステップには絶対に進めない仕組みになっているようです(当たり前ですが)。

ここで多くの人が躓きます。話を聞いたところ、僕と同じように入る人には「日本の医大に入れないような人」が多いようで(もちろん、最初から海外の医大に行きたいって人もいるようです)、そもそも勉強があまりできない人になります。

そういった人たちが英語の勉強をしようにもついていけず、脱落していくという話しでした。

次に試験を通ったとしても、それは最低限の力を見ているわけで、授業についていけないという人も現れてきます。

そこでさらに何人も脱落していきます。海外の医大も、日本の医大と同じく、大学でのそれぞれの科目の試験がありますし、卒業試験や、実習もあります。

そういった過程で数が徐々に減っていくわけです。

 

日本での試験を受けるための書類作成

そうして苦労して卒業できたとしましょう。いよいよ日本に帰ってきて国家試験(実際にはまずは予備試験ですが…)を受けようとなるわけですが、その際に書類の提出を求められます。

海外の医大を卒業した証明書、どんな科目の単位を収めたかの証明書などなどです。

この時注意なのは、日本語の書類を提出しなければならないという点です。

もちろん、海外の大学に任せようにも日本語の文章で書かれたものなど作成してくれません。

自分で翻訳するしかないです。これもかなりきついようでした。

実際にイギリスの大学を卒業した知り合いがここでかなり手間取ったようです。(日本とイギリスでのメール・書類のやり取りで時間がかなりかかるみたいです。)

こういったことも乗り越えなくてはいけません。

 

国家試験前の予備試験

次に問題となるのが日本での「国家試験前の予備試験」になります。

これがかなりきつい。医大では最初のうちは生化学など基礎を学ぶのですが、だんだん使わなくなっていき忘れます。

日本の、この「国家試験前の予備試験」ではそういった範囲のことを当たり前のように聞いてくるわけです。もちろん、医学的なことも聞いてきます。

ここではさらに問題となることがあって、今まで学んできた生化学の用語・医学的用語はやはり現地での単語になります。

イギリスでは英語の単語で覚えていますし、ハンガリーではハンガリー語?、中国では中国語の単語を覚えていると思いますが、日本の試験ですのでやはり日本語の単語が答えになっています。

このギャップも大変なようです。

ここを乗り越えたらようやく国家試験になりますが、海外の医大の中にはさらにもうステップ必要な場合もあります。

 

日本の医大で実習を決められた期間行わなければならない

さて、予備試験もパスして、やっと国家試験だと行きたいところですが、海外の医大の中にはさらに日本の医大で実習を積む必要がある場合もあります。

この基準については詳しくないのでわかりません。ごめんなさい。

ですが、この日本の医大での実習を如何にして行うかという点が難しい点です。

はっきり言いましょう。「コネが必要です」。

海外の医大の中にはその大学の出身者で、日本で医者として働いている人もいます。そういった人を頼ったり、親が医者の場合には親の出身大学を頼ったり、実際に日本の医大に赴いて入局を条件に何とかしてもらったりなど様々です。

ハンガリーの医大なんかは、そういった日本で実際に働いている人達の団体なんかもあるみたいで、いろいろアドバイスをもらえるとも聞きました。

そういったコネが必要になっていきます。そうして日本の医大での実習を終える必要があります。

 

医師国家試験の合格率も低い

ここまでしてやっと、日本の医師国家試験を受けられるわけですが、海外の医大出身者の医師国家試験の合格率がかなり低いです。

日本の医大出身者の約90%は現役で合格しているのに対して、その他は40%程度です。

やはり、言語の問題もあるのかもしれませんが、合格率を見るとかなり低いと言わざるを得ません。

ここまでのステップで人数を減らされつつ、最後の関門も突破できない人が多くいます。

厳しい現実であると思います。

 

海外医大出身の先生はどういった人たちか

ここまで見ると、海外出身の先生は国家試験の合格率も低いし、実力ないのかもと思われるかもしれませんが、違います。

実際はめちゃくちゃ優秀です。

ここまでの難関を乗り越えてきた人達ですし、海外出身で英語もできるとあって外国の人への対応を任されていたり、英語の論文もスムーズに読めて最新の情報を取り入れています。

そのため、僕が見てきた先生たちは、国家試験もかなりの成績でパスしています。

海外の医大の中には実習が特殊で、他の国に行って、実際に医者のように働いた経験がある人もいるので最初から動けていますし、優秀といった評価が妥当だと僕は思っています。(僕が評価するのもおこがましいですが)

なのでああいった報道で、変な目で見ないほうがいいような気がしています。

ちなみに個人個人をみるとやはり、医者の子供が多いように思えます。あとは、海外の大学を出るのが非常に難しいので留年したりしてて平均年齢は高いと思います。

 

まとめ

実際に海外の医大を出て、日本で医者をやろうと考えている人はかなりの覚悟が必要だと思います。

海外の医大は出るのが大変です。中には何度も留年して10年くらいかけたという人もいます。さらに日本の国家試験を通るまでに時間をかけなければならない場合もあります。

こういったことを踏まえて海外の大学に行くのがいいのではないでしょうか。

楽観的に考えては無駄に時間を過ごしてしまうことにもなりかねません。

自分の今後もよく考えて決めるのがよいでしょう。

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